3-1. お耳の誕生日

お耳の誕生日

2015・撮影

2015・撮影

10か月の時、形成の手術が終わり町田の聾学校の乳幼児部を見学した後、ここでお世話になることが決まったわけだが、まずは玄の耳に合った補聴器を合わせていただくことになった。

玄の聴力はふさがっている方の左耳は120~130db・・・こちらはほとんど聴力が見いだせない数字で、開いている方の耳である右耳は平均90dbほどであった。
(障害のない人はは0~30db)

「平均」というのは、音は高い周波数から低い周波数まであり、聴力検査はそれぞれの周波数で反応を見ていくのだが、そのそれぞれの数値の平均。ということである。

補聴器は(今もそうだが)右耳に高度難聴用の耳かけ型のものを選んでいただいた。

補聴器はチューブでイヤーモールドへと繋がっている。

イヤーモールドというのは樹脂でできていて使う人の外耳の凹みにぴったりと合わせて作られる。注射器のようなものを耳の穴に向けてあてられ、むにゅむにゅっとした粘土のような樹脂が出てきて、イヤーモールドの型を取る。赤ちゃんの間はこれを嫌がったが仕方なかった。

イヤーモールドとチューブ

参考)補聴器とチューブとその奥のイヤーモールド。


初めて補聴器をフィッテイングされた日、聾学校で「お耳のお誕生日おめでとう。」と祝福された。

先日youtubeの海外の映像で「初めて聞こえない赤ちゃんに補聴器をつけた時の反応」のような映像を見た。
映像の中の赤ちゃんはわかりやすい反応をしていたが、玄に関して言えばはその瞬間はそういう感じでもなかった。

「あーあー」とか声を発したり、なにか聞いているような顔を見せたり。。と時がたつにつれ少しづつそういったことが増えていった。

玄の聞こえと補聴器

玄の場合、平均聴力レベルは90dbで、補聴器をつけたときの聴力は50db程度になった。
「補聴器をつけることが有効」だと言われた。

50dbはどんな感じかと言われれば(非常に大雑把だと思うけど)いわゆる耳の遠くなったお年寄りに大きめの声で耳元で話しかけたら音が届いているようなイメージだそうだ。

さらに詳しく書くと、250Hz程度の低い周波数の音は比較的拾えているが2000Hz以上の高音は入らなかったようだ。

補聴器で補えるとしても、
話し言葉については低い男の人の声か、高い女の人の声か。。と発せられる人の声の質によっても違うし
人の話し言葉は音域の幅が結構あって、「あいうえお」の母音は低めの音域で、「さしすせそ」や「はひふへほ」は高めの音域なので
苦手な音域=玄の場合は高音が抜けて(高音が苦手な聴覚障害児は多い)聞こえているような状況だという。

(玄の場合は)補聴器をつけたからと言って単純にラジオのボリュームをアップしたような感じにはならない。(そういう人もいるが)

高音が入り、しかも必要ない雑音はカットできるようにと補聴器自体がその後何年にもわたり改良されてきたので、今は当時と比べ物にならない程かなり高性能になっている。
今は実際大きな声で耳元で話しかけたりなんかすると「うるさい!」と(本人に)怒られると思う。

難聴のお年寄りの場合も同じだが、補聴器は本当に本人にあったものでないと本人にとってただのうっとおしいものになる。
音を拾いすぎると不必要な雑音まで拾うことになる。
良いころあいというのがあって赤ちゃんの場合、その後どういう反応をしているかをじっくり観察していく必要がある。

慣れない補聴器

お耳の誕生日を迎えたのはいいが、慣れるまでは本人にとってはまだまだ「異物」のようだった。

補聴器が耳にしっかりと密着していれば問題はないのだが隙間が少しでも出来るとハウリングしてしまう。

聴力も高度難聴用なのでハウリングの音もピーピーかなりの音でこちらが嫌になってしまうほどの音だった。

遊ぶ時もおすわりがしっかり出来ていたのなら補聴器も定位置に収まるものだと思うが、
なにせ背骨の奇形の影響か、しっかりとおすわりが出来ていなく、ハイハイは出来なく、背ばい(あおむけで背中でハイハイ)で動いていたので
動くたびにピーピーと補聴器が外れてしまってなかなか慣れることができなかった。

それから一番怖かったのは補聴器の中に入っているボタン電池を飲み込んでしまうことだった。

乳児のボタン電池の誤飲に関しての記事があった。
ボタン電池の誤飲は特別警報レベル!?症状や対処法まとめ
胃や食道に穴が開いてしまうので即手術になるようだ。

2-3歳になるまでボタン電池の誤飲には神経を使った。

玄は電池を飲み込むことはなかったが、補聴器を口にくわえてしまうことはたまにあった。

ひとりで遊ばせていてもピーーとなったら玄の方に即注意を向けていた。