3-2. ことばは育つもの

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ことばは育つもの

マリア様

この聾話学校は日本で唯一の私立のキリスト教の聾学校で、乳幼児部・幼稚部・小学部・中学部と分かれていた。

個人的にキリスト教教育と言うところが大変気にいっていた。
聖書の話や礼拝などをとても大切にしている教育だった。

我が家はキリスト教ではないが、
祈ることが生活の中に根付いているということを自然に子供に身につけるのにはすごくいいと思った。

それに、障害のある子供を授かって出口の見えない不安や自分の努力だけではどうしようもない状況の中、聖書のひとつひとつの言葉に癒されていた自分がいた。

礼拝の後きれいなカードをひとりづつもらってカード帳に貼っていくのが日課になった

礼拝の後きれいなカードをひとりづつもらってカード帳に貼っていくのが日課になった

乳幼児部はどちらかと言うと「親への教育」的な要素が強く、
家庭生活でどう子供に接していくか?というところのアドバイスがメインだったように思う。
一カ月に一度ほど「親に対しての講義」があって、補聴器の話や耳の話、聞こえの話など勉強していった。

この学校は聴覚口話法の聾学校で、手話や指文字を使わずに徹底して「耳」を使う方法だった。

「ことば」は教えるのではなく、人間関係(とくに親子関係)の中で育っていくものであるという。「ことば」を育てる意識より前に「人間」を育てる意識が大切である。

樹木で例えるなら
土台の根っこにあたる部分の「情緒」が安定してこそ「自主性」や「社会性」が身につき、「ことば」や「知識」にあたる部分は「葉っぱ」にあたる部分であって、
根っこをしっかり育てる必要がある。

と。

これに関して言えば、健常の子にでもあてはまるのではないかと思う。

両親への講義・主人がメモした図

両親への講義・主人がメモした図

先生との情報共有は大切・日記のやり取り

通常赤ちゃんは、お腹がすいて泣いたときにお母さんが来てくれて「はい。おっぱいあげましょうね」とか「あ。もうおっぱいの時間か。」など、自分の欲求にお母さんが答えてくれた時の「ことば」を毎日毎日繰り返し聞くことによって、「おっぱい」という言葉が身につく。

毎日の生活、経験があって本人の心からの訴えや要求、そしてそれに対しての応答、これに「ことば」が乗っている。
経験と共に繰り返して耳にすることで生きた「ことば」がその子のものになる。

聾児への聴覚口話法に関して言えば、赤ちゃんに合った補聴器をつけ、日常の中で根気強く丁寧に接していくことによって、聾の赤ちゃんでもやがて声を出すようになり、そして声を出すようになったら赤ちゃんの代わりに言葉や文にして返してやる。。と言った繰り返しだ。

そのためには親や先生が子供の様子を事細かに観察する必要がある。

たとえ声が出てなくても子供がその事に関心があって「それを見ている」と言うだけでもことばや文章にして返してやることはできる。

「おなかすいたねー」とか、「あーお花きれいだねー」などなどあくまでも子供の気持ちに沿っていくことが要となる。

そして、赤ちゃんの欲求は生後何カ月かは生理的なものばかりだが、やがておすわりしたり、歩いたりするようになると興味がだんだんとひろがっていく。

さらに小学部へ入るとお勉強が入るし担任の先生にあずかっていただく時間がおのずとから増えていくわけだが、
幼稚部までは生活の事細かい部分に関してまで聾学校の先生と共有していく必要があった。

例えば。。
「今日はこういうことに関心がありました、こういう時にこういう声を出しました。こういう事が出来ました。褒めてあげてください」となどなど「ことば」の面もさながら、トイレトレーニングや食事など生活の延長の部分に関しても同様である。

家でどういうことがあったか。どういうやりとりをしたか。の日記を毎日書いて先生に提出するようにいわれた。
先生は赤でアドバイスを事細かく返事してくださった。

先生との日記のやり取り

先生との日記のやり取り

聾学校の入学式は4月だったが、補聴器を初めてつけたお耳の誕生日の後担任の先生を紹介されたのちに即、日記を書くように言われた。

聾の子の子育てに先生方との日記のやり取りと言うのはすごく大切だ。

ある程度言葉らしいものが身に付いた小学部以降でも、彼の言いたいことの内容をキャッチし、
会話につなぐためには子供は言葉も文もまだまだ不明瞭で何を言っているかわからないことが多いので、学校での状況を「ある程度」把握しないと困るからだ。

(都立の聾学校の話だが、昔は小学部になっても毎日授業中も後ろで見ていないといけなかった時代があったそうだ。。。。ある程度は把握したい気持ちはあってもさすがに一緒に毎日授業、、となるとちょっと引いてしまう)

先生との日記のやり取りは学校が変わって高等部まで続いた。

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